旧丸大扇屋(きゅうまるだいおうぎや)は、1640年頃に初代長沼忠兵衛が椿(現飯豊町)より長井の宮・十日町へ移住し店を構えたことに始まる商家です。最上川舟運とともに呉服商として隆盛し、1970年頃までおよそ330年に渡り営業を続けました。最終的に財産を引き継いだ十代目の三男・長沼孝三(彫刻家・長井市名誉市民)が、1988年にその一切を長井市に寄贈し、改修工事を経た1995年に一般公開、2003年には県指定文化財となりました。天保3年の年号が書かれた祈祷札が残る味噌蔵をはじめ、全棟の建築物が保管されており、当時の食器や道具、水路を利用した設備などを見学することができます。
旧長井町の北部十日町で、古くから反物商を営んだ旧丸大扇屋の建物群が2003年5月県指定文化財となりました。古くは天保3年の年号が書かれた祈祷札が残る味噌蔵から、1913年に建てられた新座敷まで全部で7棟です。
山形県長井市は、江戸時代から上杉家米沢藩の玄関口となっていました。最上川舟運と西回り航路(山形県酒田市から日本海~瀬戸内海を経て関西に向かう航路)をつかい、京都・大阪と盛んに交易を行い富を築き、多くの商人が集まり繁栄しました。
舟運でバラスト(舟を安定させるための底荷)代わりに積まれ運ばれた*雲州灯篭が4基あります。
庭の作りにも京文化の影響が随所にみられます。一番大きな石は、長井市内西川原沢産の白い石で、苦労して運んだ話が伝わります。
*雲州:うんしゅう:島根県東部
店と店蔵の間から屋敷に入ります。間口が狭く奥行きが長い地割りは京都風の影響です。隣の新町、小出のあら町にも見られます。
1640年頃 このころ初代長沼忠兵衞が椿(今の飯豊町)から宮へ出、店を構える。初めは荒物、紙などを商う。
1694年 最上川舟運、宮まで開通
1711年 青苧、生糸、真錦を仲介
1764年 丸大扇屋と称する
1844年 7代目忠兵衛宮村肝煎になる
1848年 店、店蔵にこの年の年号が記された棟札が残る。
1890年 第3回内国博覧会に長井紬出品
1890年 母屋を建造
1898年 新蔵を建造
1913年 新座敷を建造
1914年 赤湯・長井間鉄道開通
1920年 生糸織物株価大暴落
1944年 東京江戸川区の学童疎開受け入れる
1954年 1町5村が合併し長井市となる
1988年 丸大扇屋を市に寄贈
1991年 丸大扇屋が市指定文化財に
1992年 長沼孝三彫塑館開館
1995年 丸大扇屋資料館として公開
1997年 山形経済同友会から景観デザイン賞を受ける
2003年 丸大扇屋が県指定文化財に
母家の帳場箪笥と帳場格子、当時の家具や食器類もそのまま残っているのは貴重だと評価されます。
開館時間:10:00~17:00(入場は16:30まで)
休館日:月曜日・月末日(月曜日が祝日の場合は翌日)、冬季(12月29日~2023年3月31日)
見学料:無料
【注意事項】
丸大扇屋は山形県指定有形文化財となっております。ご見学の際はご配慮・ご協力の程お願いいたします。
・施設内は禁煙になります。
・建物を壊したり傷つけたり汚したりしないで下さい。
・飲食は原則として禁止させていただきます。
・ゴミはお持ち帰り下さい。