水と緑と花のまち・長井の豊かな自然風土が育んだ特色ある芸術文化を俯瞰する展覧会
西山と東山に囲まれ、その間を最上川とその支流が流れる自然風土の下で、長井は特色ある文化を形成してきました。それは人々の豊かな感性を育み、画家、彫刻家、詩人など、多くの芸術家を輩出しました。市制施行70周年を記念する本展では、近年長井市に収蔵された作品を中心に、郷土美術を代表する6作家をご紹介します。
□ 2024/10.11(Fri)ー20(Sun)
□ 10:00ー17:00
□ 文教の杜ながい 小桜館ホール
□ 出品作家:菅原白龍、池田月潭、髙橋都哉、長沼孝三、渋谷円吉、菊地隆知
菅原白龍 | 南画家 Hakuryu Sugawara
長井時庭にある神職の家に生まれる。16歳の頃に家出して江戸に行き熊坂適山らに師事。以降長井と江戸を往復しながら諸国を巡り、各地の画人、文人たちと交流した。中国山水画の模倣から脱し写生を重視した日本的南画を模索した。岡倉天心との交流も深く、晩年に日本絵画協会展において南画会から唯一の審査員として抜擢されている。
1833-1898
池田月潭 | 日本画家 Gettan Ikeda
東京神田に生まれる。歴史画の大家・村田丹陵に師事。歴史画を得意として、信州・東北を中心に多くの画会を開き、3000点を超える作品残した。長井には長く滞在しており、丸大扇屋の借家を拠点として活動していた。日本美術協会主催展覧会での入賞や、大正時代の日本絵画評価表に著名日本画家らと並んで記される等の高い評価を受ける。
1881–1923
髙橋都哉 | 日本画家 Kuniya Takahashi
長井西根に生まれる。農家に生まれながら画業を志し、27歳の年に上京。小林古径に師事し、内弟子として、兄弟弟子だった奥村土牛とともに研鑽を積む。1928年日本美術院展に初入選。以後、連続入選し、院友となる。以降も同展で活躍したが、戦後の食糧難や情勢不安から逃れるため帰郷してからは郷土に根を下ろして地道な制作を続けた。
1893–1965
長沼孝三 | 彫刻家 Kozo Naganuma
長井市十日町の呉服商・丸大扇屋に生まれる。東京美術学校卒業の年に帝展に入選を果たし、新進気鋭の彫刻家と評され、戦後は日展を中心に活躍。その制作は一貫して西洋の模倣から脱した日本的彫刻表現を希求するものであり、その柔らかく丸みを帯びた造形によって、自然と融和した日本人の在り方を示した。 長井市名誉市民。
1908-1993
渋谷円吉 | 洋画家 Enkichi Shibuya
長井市寺泉の農家に生まれる。幼少時から画才を認められるも美術の道へ進むことは許されず、母を助け苦難の生活を送る。終戦後、戦地から帰郷し本格的に画業に取り組む。1954年、米沢出身の洋画家・土田文雄に師事し、1955年以降、国画会展に出品。フランスや北海道を旅し、様々に画風を変えながら山形市を拠点に制作を続けた。
1912–2004
菊地隆知 | 木版画家 Ryuchi Kikuchi
長井市に生まれる。平塚運一に師事。終戦後帰郷し教師の道へ。19歳の時、中学校での勤務中に事故で頭部を負傷し、それがもとで31歳の時に右半身不随となるが、以後は左手で制作を続けた。東北現代美術協会、日本版画院等で活躍。最上川や古民家等をモチーフに郷土の風景版画を制作したほか、「俳画」に取り組み多くの作品を残した。
1930-2018
◻︎日時:10月13日(日)、20日(日)14時より30分程度
◻︎ご案内:文教の杜ながい 事務局長 後藤拓朗