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長沼孝三のセメント彫刻「母と子」が、千葉県からはるばるやってきました。
ゴルフ場の片隅に長年の間設置されていたものですが、改装に伴い撤去する事になり、当館に収蔵する運びとなりました。
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長沼孝三の彫刻はその多くがセメント製で、特に屋外に設置されるものについては耐久性を高めるため、中空ではなくセメントがぎっしり詰まっており、相当な重量になっています。今回輸送を請け負ってくださった石屋さんの見立てでは300kg程とのこと。その重量のために大変慎重な作業となりました。
輸送の際は写真のように砂の上において固定します。現在彫塑館に収蔵している作品も、東京のアトリエから持ってくる際には同様の方法で運んだそうです。
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この段階でも、寝た状態か立たせるかで試行錯誤がありました。
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大変な重量のため、おろした時に安定するか滑って傾くかを慎重に話し合い見定めながら作業していました。
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ただでさえ駐車場から彫塑館までは段差が多く、隙間のある石畳の小道になっているのですが、それに加えてここ数日の積雪が加わり一瞬も気が抜けません。
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ようやく彫塑館にたどり着き、無事に館内で保管することができました。
長年風雪にさらされていたためカビや表面塗装の剥離が目立ちますが、大きく欠損したような箇所もなく安心しました。今後どのような形でお披露目することができるか、まだまだ先は長いですがよりよい状態を目指して進めていきたいと思います。(後藤)